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サウンド・プロデュース作品:松田幸一

アルバム「Harmonica Paradise」(ARI'S RECORDS)

羽毛田さんが作ったり、参加したりのアルバムの中で、「買ってからしばらく、毎日聴いた」というものがいくつかあります。その中でも「毎日聴いた」期間がべらぼうに長かったもののひとつが、羽毛田さんがプロデュースとバッキングを担当した、アリさんこと松田幸一さんのアルバム「Harmonica Paradise」です。
このアルバム、私はARI'S RECORDSに直接注文したので、「自宅にお届け」だったのですが、郵便屋さんが届けてくれたのは、ちょうど今から2年前の7月のある日の夕暮れでした。
出かけようとしていたところだったのだけど、一番最初の曲が大好きなWhen I Fall in Loveだったので、「これだけ聴いてから出かけよう…」と夕陽がまだ明るく差し込む部屋で椅子にすわって聴き始めました。
…ふとわれに返ったとき、最後の曲Amazing Graceが終わり、部屋は真っ暗になっていました。夕方の少し疲れた体に文字通り「しみこむ」、ハーモニカとピアノとギターやマンドリンなどの弦楽器の美しい音色。「出かけなきゃ」なんていうあせりはアルバムのごく最初のほうで、きれいさっぱり消えてなくなりました。
その後、たぶん1年くらい、1日に1回は必ず聴いたと思います。今では頭の中で音をすっかり再現できてしまいますが、それでも無性に聴きたくなってバッグの中にMDを常備しています。
どの曲もいいのですが、やはり羽毛田さんのピアノがステキなのは最初のWhen I Fall in Loveと2曲目のDanny Boy。「When I 〜」は、ジャズピアノの巨匠ビル・エヴァンスも名盤「PORTRAIT IN JAZZ」の中で取り上げているスタンダードな曲。アリさんと羽毛田さんのバージョンは、ビル・エヴァンスのよりももっとゆったりと、しみじみとした感じで心にじんわり響きます。あとで聞いたところによると、羽毛田さん、会心の演奏だったそうで、同じようには二度と弾けない、と聴くたびに思うそうです。そんな演奏が録音で残り、繰り返し聴けるなんて、ファンとしても実に幸せなこと。絶対オススメの1枚です。
2曲目のDanny Boyは、昔私がアルトサックスの練習をしていたとき、「ロンドンデリーの歌」という曲名で教則本に必ず出ていたアイルランドの民謡ですが、そのとき感じたさびしげなイメージとは全く違った、風吹く草原を思わせるような、躍動感あふれるアレンジです。これは本当に出色。私の疲労回復の、特効薬です。
(投稿者:kingyo  投稿日: 040711)

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