サントラCDレポート(TVドラマ):
日本テレビ系土曜ドラマ「D×D」オリジナル・サウンドトラック
SONY RECORDS SRCL 4035
1997.8.21 リリース
ドラマ「D×D」
ドラマ「D×D(Dangerous Angel×Death Hunter)」は、日本テレビ系の土曜9時の連続ドラマとして、1997年7月5日から9月20日まで放送されました。主題歌はTOMOYA with 3Tの「ETERNAL FLAME」。
7年前、たまたま実家に帰っていたときに、このドラマのエンディングがテレビで流れていました。
スタッフロールの「音楽」の下に、「羽毛田丈史」の5文字が!すぐ近所に住んでいた音楽少年が、音楽の世界に飛び込んだことは知っていましたが、こんなにメジャーな仕事をしてるんだ!とうれしい発見をした瞬間でした。ちょうど自分自身忙しい時期で、ドラマを観ることはできなかったのですが、また違った意味で記憶に残った作品です。
ということで、今回はドラマを観てないけどサントラを持ってる私と、な、なんとドラマの録画をしっかり保管されていたハケチャリアンのアイさんとの共同執筆で、レポしてみたいと思います。
登場人物とストーリー(Text by アイさん)
相沢サトル(長瀬智也)
霊力を持ち、悪霊を切ったり成仏させることができる。茶髪で人情もろい。よく泣き女に弱い。
木原トラノスケ(岡田准一)
同上。幼い頃、家族を事故で亡くす。新宿マザーなる人物に育てられる。こてこて関西弁。謎多し。クールな寂しがりやさん。
サキ(鈴木砂羽)
ルパン3世の峰不二子的キャラ。お金大好き。神出鬼没。
岡崎(寺脇康文)
所轄の刑事。元新宿マザーの恋人。おもろかっこいい刑事さん。サキに気がある。
片山(阿部サダヲ)
その相棒?岡崎との掛け合いが絶妙な名脇役っぷり!
★最終話に向けて登場する人(霊?)たち
新宿マザー
童話作家。孤児たちを集めて育てていた。霊力のあるトラノスケを狙っていた「ファーザー」にトラノスケの身替わりとして殺されてしまう。
ファーザー
マザーが天使なら、こちらは闇の世界のボスであり自らの命を悪魔に捧げて悪霊となり、新宿を乗っ取って自己の王国を創ろうと企てる。ほとんどマンガな人物です…。
ほとんどが1話完結の勧善懲悪ものといった感じです。
第1話目がないので、サトルとトラの出会いは不明なんですが、どっかのビルの屋上で共同生活を送ってます。サトルは単純バカなんで、トラとサキのうまい話の餌食にされて振り回される…とゆう設定で始まって、事件が起き、そこに関連する幽霊騒ぎ・不審な出来事が重なってゆく…大体がそんなパターンかな??
音楽も、オープニングのような賑やかな曲がベースになって進んでいきます。
霊が成仏したり、誤解が溶けて和解したり、シリアスな場面ではピアノですね。
キャストからもうかがえるように、すごくノリもテンポもいいドラマなので、羽毛田さんの音楽が本当にすごく合ってるんです!オープニングのピアノバージョンがまた素敵でにくい感じです。
〜8話までは、こんな感じで、1話毎にゲストキャストが変わっていき仲間由紀江ちゃん(若い)が登場した回は、まさに「トリック?」な展開でした。田舎で、河童が出てきてしまいました。(トリック+ケイゾク+金田一)×相棒??
9〜最終話では、新宿マザー、ファーザー(2人共死んでいる)なんてのが出てきてしまって、ほとんど浮世離れなストーリー展開でした。
ファーザーによって乗っ取られてしまった新宿の街は、忘れ去られ、住民は悪霊(もののけ姫の祟り神実写版みたいな)に乗り移られて壊滅寸前のところで、もちろんヒーローたちによって救われる!そしてハッピーエンディング!
あのオープニングテーマは一度聴いたら、頭に張り付きます♪
羽毛田さんの音楽に、長瀬+岡田ペアの映像、かっこいいです。とても7年前のものとは思えません!
オリジナルサウンドトラック(Text by kingyo)
坂本龍一さんとのコラボや宮崎駿アニメなど、多方面で活躍されている野見祐二さんとの共同制作。
羽毛田さんは、テーマ曲を始め電気とおってる系(pluggedってこと)の楽曲を主に担当しています。
(下のリストの太字が羽毛田さんの曲)
01. D×D
アリさんのハーモニカが痛快な、ノリノリのテーマ曲です。(Harpはブルースハープ、ハーモニカのことで、弦楽器のハープではありません。)なんだかすごくうまくできてる曲だなと、初聴きで思いました。
にぎやかな音の洪水が、耳になだれ込んでくる感じ。たぶん、演奏している皆さんの息がぴったりあってるせいもあるんだろうな。
見え隠れする羽毛田さんのエレピの音が、古いアップライトピアノみたいにちょっとアーリータイムな感じです。特にイントロのピアノのフレーズが面白い!
02. Running Over
ブルースハープ、キーボード、エレキギターに、ベース・ドラムのスピード感ある曲。追跡のシーンなんかにぴったりな感じ。ベースとギター、かっこいい!
03. Bra Bra Brothers
絶妙なブルースハープで始まる、コミカルな曲。
04. Peace of Mind (作曲・編曲・野見祐二)
うってかわって、ストリングスとアコースティックピアノの美しい旋律。
クラシックのピアノ曲のような趣のある長い曲。感動が盛り上がる。
05. The Holy Spirit (作曲・編曲・野見祐二)
これも、クラシック系のピアノ曲。中盤の、やさしいけど悲しげな旋律に想像力がかき立てられます。霊の昇天、みたいな感じかな。
06. Woo Doo
シンセサイザーだけで作られている曲だと思いますがブワブワ音(Drone Padというそうな)をバックに奇妙な旋律が。幻想的な空間の広がりを感じるトランス調の曲。羽毛田さんがこういう曲を作ると、今までに耳にしたことのないようなものすごくユニークなものになるのでびっくりします。
07. Labyrinth
これも羽毛田さんらしい。シンセサイザーのループを駆使したスピード感のある曲。ときどきつまづくようなリズムの乱れと遠くで響くようなエレキギターが、いつまでたっても出口の見つからない絶望感と焦りをかきたてる感じ。これもとってもユニーク。
08. Cool Madness (作曲・編曲・野見祐二)
幻想的な電子音、冷たいストリングス、透き通るようなピアノの幻想的な世界。ゆっくりしたリズムに狂気を感じる曲です。
09. September Rain
羽毛田さんのキーボードがちょっとノスタルジックな感じのブルース。エレキギターが思いっきり泣いてます。
10. Love
羽毛田さん担当の曲の中では唯一の、やさしいピアノ曲。バックはストリングスとアコースティックギターでさらにやさしく。ときどき、羽毛田さんの楽曲でよく登場する「シャラシャラシャラ」という音が…。
11. Travelling With Mama
再びアリさんのハープ登場で、ノリノリのにぎやかな曲。羽毛田さんのキーボードが痛快!live image4アンコールでのビンビンキーボード、こんなところに引き出しが!
12. Blue Whisper (作曲・編曲・野見祐二)
女声コーラスの賛美歌のような曲。天使が舞い降りた?
13. But Who Am I?
アコースティックギターとフルートのイントロがさわやか!
羽毛田さんのキーボードと包国さんのフルートがメインのフュージョンぽい曲ですが、なんかどこかで聴いたことがある!
絶対いろんな番組で使われてます。get you!確率高いかも。
14. Orange Street Rag
14曲目のお約束。ラグタイム調のゆっくりなテンポの曲です。
西海さんのバンジョーがほのぼのした感じ。包国さんのテナーサックスがメインテーマのメロディーをおじさんのだみ声みたいに歌います。
15. Into The Darkness (作曲・編曲・野見祐二)
ストリングスとピアノのちょっと怖い曲。ディズニー映画の「ファンタジア」の「はげ山の一夜」の映像を思い出してしまいました。
16. Franky (ストリングスアレンジ・野見祐二)
コンピュータ・ミュージックのリズムとストリングスの融合。メインはエレキギター。へたに作ると平板になってしまうコンピュータ・ミュージックですが羽毛田さんが作るとものすごい立体感。
17. ETERNAL FLAME(Instrumental)
(作曲・Billy Steinberg, Tom Kelly, Susanna Hoffs 編曲・野見祐二)
主題歌のインストバージョン。
ストリングスをバックに、つやのある音色のソプラノ・サックスが主旋律を奏でます。これも包国さんかな?
この歌は、80年代に大流行したBanglesの作品のカバー。Banglesといえば、私の中では「Manic Monday」ですねー、やっぱり。「Walk Like An Egyptian」は、すごくPVが面白かったな。
MUSICIANS
NEW ORANGE STREET BAND(M1,2,3,9,10,11,13,14)
Harp: Kouichi Mazda
Sax & Flute: Mitsuru Kanekuni
Bass: Hiroshi Udagawa
Drums: Asa-chang
Banjo: Takashi Nishiumi
E, A, Guitar: Masahiro Ogura
E, A, Guitar: Zentarou Watanabe
Piano & Organ: Takefumi Haketa
NEW STRAWBERRY STRINGS ORCHESTRA(M4,5,8,10,12,15,16,17)
E, A, Guitar: Masahiro Ogura(M7,16)
「FOR YOU」に続く90年代の劇伴です。野見祐二さんとの共同作品ですが、トーンが全然違うので、ほんとに「役割分担して作った」という感じ。今の羽毛田さんのストリングスアレンジの実力で作り直すと、どんな感じになるんだろう?なんて考えながら聴くのもまた楽し。最近の羽毛田さんは、笛と言えばアイリッシュ・ホイッスルやリコーダーが多いですが、当時はほんとにフルートを多用してますね。これも大きな発見であります。
今回はレポもアイさんとの共同作品。コラボもなかなか面白いです!アイさん、ありがとうございました!
(kingyo 041029)