3大ヴァイオリニストコンサート 川口リリア・メインホール
160423 投稿者:kingyo
コンサート続きのこの春の羽毛田さんですが、live image 16に続いて初日を迎えたのが、“HATS MUSIC FESTIVAL Vol.1 葉加瀬太郎・高嶋ちさ子・古澤巌〜3大ヴァイオリニストコンサート〜”でした。
私自身も3つのコンサートのチケットをすでに持っていたので、行くかどうしようか迷っていたのですが、羽毛田さんからリハーサルの様子を聞いたり、ある意外な人がフルートを吹くことになった、ということを聞いたりしているうちに、なんだかとっても興味がわいて、4月23日の川口リリア初日公演に行ってきました。
川口リリア初日
このツアーは川口リリアを皮切りに、大阪・神戸・名古屋・東京と、いつものlive imageツアーとほぼ同じ日程、同じ会場で行われることになっていますが、聞くところによると全公演完売御礼なんだそうです。
人気3大ヴァイオリニストってやっぱりすごい!とその底力を思い知りました。
自分自身振り返ってみると、毎年この時期にここでlive image初日を迎えていますが、live image以外で川口リリアに来るのは初めてです。
昨年の「上野東京ライン」開通ですっかり訳が分からなくなった首都圏のJR線ですが、私のうちから川口に行くことに関してはものすごく楽になりました。ホームに着くどの上り列車に乗っても、川口の1つ手前の乗換駅、赤羽に到達するのですから。
今回も「あっという間に赤羽だー、ラクチン!」と電車を降りる準備をしようとしたら…突然の急停車。何らかトラブルがあったらしく、15分遅れの赤羽到着で、京浜東北線に乗り換えて川口に着いたときにはもう、入場が始まっていました。
驚いたのが、その人の多さと熱気。全席完売とはこういうことなのか。
リリアのエントランスのところに人の波が押し寄せている感じ。
トイレも、ホワイエも、どこもかしこも人だらけでした。
3人それぞれの、そしてゲスト演奏する羽毛田さんや柏木さんのファンもいるだろうと思うのですが、年齢層は小学生ぐらいからご高齢の方までさまざま。
男女比は、だいたい4:6ぐらいで女性が多い感じでした。
物販はパンフレットと、マスコット的なものがありました。
セットリストが載っているとのことなので、2000円のパンフレットを購入。
でも、入って最初に目に入ったのは、羽毛田さんの夏のソロ・コンサートのチケット発売中!の掲示でした。
HATS所属のアーティストのCDなどもたくさん売られていました。
特に買うものはなかったので、客席へ。
席は前方の真ん中。リリアはステージが高いので、後ろのオケの一部が見えないかも。羽毛田さんはよく見えるけど、真ん中だから弾いている鍵盤はあまり見えない感じでした。会場には、たぶん葉加瀬さんのアルバムの音源が流れていました。ふと、先日のlive imageの、全く無音だったサントリーホールの開演前を思い出しました。こちらのほうが、イマージュっぽい感じ。
開演〜SWINGIN' VIVALDI
開演の合図のベルが鳴ったけどまだ客席は明るいまま、ストリングスのきれいで壮大な曲が流れてきました。うしろを振り返ると、3階まで人でいっぱいでした。
客席のライトが消えて暗くなると、ドラムスティックのカウントが聞こえて、1920年代のアメリカのジャズバンドみたいな音楽が聞こえてきました。
緞帳には黄色や紫色のライトが照らされてくるくる回り、一気にワクワクした感じに。
開幕は、この企画のために新作された「SWINGIN' VIVALDI」でした。
ピアノを陽気に弾く羽毛田さんは、なんと蝶ネクタイ!それも、大き目の。そして、シャツの胸にはフリフリの飾りが!
まるで、Rolling Twentiesのジャズバンドのピアニストみたい。
リズムにのってオーケストラメンバーがパン・・パンパンパンと手拍子をはじめ、羽毛田さんも身体を振りながらパン・パンと手をたたいてあおる感じ。お客さんも一緒に手拍子を始めました。
今回のオーケストラの編成ですが、1stバイオリン4人、2ndバイオリン4人、ヴィオラ2人、チェロ2人、コントラバス1人。今野均さんのストリングスや、高嶋ちさ子さんの「12人のヴァイオリニスト」メンバーの方が参加していました。チェロは柏木広樹さんと西方正輝さん、コントラバスは西嶋徹さんでした。
パーカッションは、私の知らない女性でしたが仙道さおりさんという方でした。
それから、私の席からはよく見えなかったドラム席ですが、後程渡嘉敷祐一さんがドラムをたたいているのがわかりました。
英語で「Ladies and gentlemen!〜」と呼び込みの声が聞こえ、葉加瀬さん、高嶋さん、古澤さんが登場しました。そして、羽毛田さんのグリッサンドがタイミングよくはさまって、ビヴァルディの「四季」の「春」をすてきにジャズアレンジしたメロディーを、3人のバイオリニストが演奏し始めました。
羽毛田さんのピアノのソロも入って、ノリノリなビヴァルディでした。
会場はワクワクした雰囲気が充満、一気に気温が上がった感じ。
途中原型「春」の部分もあって、そこは高度なテクニックで聴かせる箇所だったのですが、3人がクラシックのテクニックを披露しました。
大き目蝶ネクタイの羽毛田さんを気にしつつも、ここで一番私が気になっていたのが、カリアゲとクルクルが入り混じった不思議なヘアスタイルを振り乱しながら、ノリノリにキーボードを弾いていた伊賀拓郎さんでした。
ヴォーカルユニットのLE VELVETSのメンバーであるシュガーこと佐藤隆紀さんのバースデイライブ「シュガーラモの全力アモーレ!」というファンクラブ限定イベントが今年の2月に開催されたのですが、その時あやしげなイタリア人ピアニスト「イガーラモ」としてシュガーラモ(佐藤さん)をサポートしたのが、伊賀拓郎さんでした。
そのイガーラモが、なぜかフルートが上手で、今回リハでなかなかすばらしい感じだったので採用することにしたよ、と羽毛田さんから聞いていたので、彼のフルートの演奏を聴くことも今回の大きな目的でしたがここではまだフルートは登場せず。
演奏が終わると、葉加瀬さん、高嶋さん、古澤さんの順に自己紹介して、新曲の曲名「SWINGIN' VIVALDI」を紹介して、トークが始まりました。
高嶋さんの赤いドレスを見て、「ちぃちゃん、ドレスあっかいね〜」と葉加瀬さん。「ちぃちゃんの赤を意識して、セットもこんなに真っ赤」(写真の垂れ幕)
今回のコンサート、出演者がこの組み合わせだから当然と言えば当然なのだけど、とにかくトークがボリューミー。
演奏とお話の比率がハーフハーフどころか、記憶に残っているのはお話のほうがかなり多めでした。
ただし、古澤さんの声はぽつぽつしか聞こえきませんでした。が、その数少ない発言が、かなりスパイシーでした。
そもそも葉加瀬さんがなぜこのコンサートを企画したか、というその発端ですが、1年半前にテレビ朝日系の「題名のない音楽会」で3人が共演したとき本当に楽しかったので、この構想を1年半温め続けてきたそうです。
それぞれに活躍の分野も違うし、同じバイオリンといっても全然音色も違うけれど、バイオリンという楽器は2人、3人、と合奏する人数が増えると、無限大に音が広がって豊かになっていく、という葉加瀬さんと高嶋さんの会話に、はじめて古澤さんが口を開くと「やっとやる気出てきましたね」
古澤さんはあまり事前練習などもされないそうで、なんとこの日の朝楽譜を製本していたとか。変な人すぎて、高嶋さんから「つちのこ」と呼ばれていました。
この日は「HATS MUSIC FESTIVAL」のVol.1の最初、歴史に残る記念すべき初日(初日に来る人は度胸がある)で、今回のツアーは全公演完売御礼とのことでした。
同時に進行している「live image 16」を掛け持ちしているミュージシャンも多くて、お客さんのほうも「4月12日のlive image 16の初日に行った人」と聞かれたので、手をたたきました。
そんなにいっぱいというわけではなかったけど、けっこうたくさんの人がlive imageにも行ったようでした。
高嶋さんが「コマツは、コマツはどうしてました?MCは?」と天敵小松亮太さんの話をし始めたので、葉加瀬さんが「そんなことは自分のコーナーでやってちょうだい」と危機回避。
カノン
次の曲は「パッヘルベルのカノン」をポップス調にアレンジしたものでした。
羽毛田さんは伊賀さんと交代してキーボードへ。ピアノ席にはイガーラモ。
葉加瀬さん、古澤さん、高嶋さんと順にソロを披露して、本当にそれぞれに音色が違うんだなと実感。
終わって三人がお辞儀をするとドラムが「ダ・ダ・ダ・ダ」と鳴って、また「SWINGIN' VIVALDI」のメロディーが始まり三人が退場しました。
古澤さんのコーナー〜オレンジ・ブロッサム・スペシャル
ステージのセッティング中、演奏はアメリカ西部の汽車風な感じに。
伊賀さんが今度はハーモニカを吹いていました。羽毛田さんもピアノでコミカルな感じの曲を弾き始め、、アリちゃんこと松田幸一さんのブルースハープのライブの時にこのピアノを聴いたことがあるぞ…と思っていたら、「汽車汽車しゅっぽ、しゅっぽ」のメロディーとともに古澤さん登場。
松田さんの定番曲でもある、「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」でした。
フィドルの有名曲で、ピアノとパーカッションと、そしてギターの天野清継さんがギターを抱えて立ったまま演奏していました。
曲芸のように速い弓の動きで古澤さんが盛り上げ、ドラムの渡嘉敷祐一さんもノリノリ。
ふと見ると、伊賀さんが調が変わるたびにブルースハープを持ち替えてました。イガーラモ、なんでもできる人です。
バックのストリングスの方々は、楽器を置いてじっと見てました。
速さがマックスになって(途中「くるみ割り人形」の「トレパックの踊り」の旋律も混じっていたような)、最後全員で「ヘイッ!」と叫んで終わりました。
羽毛田さんはここでいったん退場。
古澤さんのMC。「改めまして、古澤巌です。」
古澤さんの熱狂的なファンの女性たちから「いわおさーん」など声が飛びました。
以前2回だけlive imageに出してもらって、その時以来の川口リリアだそうです。
やはり葉加瀬さんの企画で開催された「Violin Summit 2006」の時にも「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」を演奏したそうで、「フィドルの名曲、1920年代に富豪たちがマイアミに移動するときに利用した豪華特急の曲」とのことでした。
UNA GIOIA SEMPLICE
イタリア人の作曲家(ロベルト・ディ・)マリーノさんに作ってもらった曲で、英語のタイトルは「A Simple of Joy」というそうです。
チェロとバイオリンの掛け合いがとても美しい曲でした。
この曲が終わると、古澤さんは上手へ退場。かわって、下手から葉加瀬さんと高嶋さんがマイクを持って登場。またMCが始まりました。
二人で古澤さんについてあれこれ。
「何事も中間がない人」「めんどくさい人」など、古澤さんはかなり変わり者らしい。
特に移動などで新幹線に乗るとき、ふつうは楽譜を見たり音源を聴いたり、休息したりと音楽家は自分のために時間を取るものだけど、古澤さんは乗り込んでくるなり座席を対面にするそうです。そして、お菓子やお茶を買い込んで、すすめてくるのだとか。
「実在の人物とは思えない、土管のつちのこ」とすごい表現をする高嶋さん。
そして葉加瀬さんは動物に例えると「チャウチャウ」で羽毛田さんは「忠実な柴犬」。前にlive imageでも言ってたな。
そして、二人の出会いについて。
これも以前live imageで聞いたけど、「物まね王座決定戦」という番組の審査員として二人が出演したときが初めての出会い。でも、そのとき葉加瀬さんは「世界的ヴァイオリニスト」、高嶋さんはただの「ヴァイオリニスト」と紹介されたそうです。
葉加瀬さんは古澤さんが中学生の時のあこがれの的で、下敷きにしていたクリアケースに古澤さんの写真を入れていたそうです。
当時の古澤さんは全身アルマーニだったりカウボーイハットをかぶっていたり。また、日本音楽コンクールで1位になったときは、長髪、革ジャン、ウエスタンブーツだったとか。
そして、葉加瀬さんがクライズラー&カンパニーでデビューする前3年ほど、古澤さんのバンドで2ndバイオリンを弾いていたそうです。
HATS所属アーティストのコーナーその1〜柏木広樹さん
葉加瀬さんが立ち上げたレーベル「HATS」に所属している柏木広樹さんがチェロ席から前に出てきました。
「チェロの貴公子」という紹介に「奇行のほうじゃないの」とこまめな毒舌コメントを差し込む高嶋さん。
高嶋さんの二番目の息子さんがチェロを始めたというのは以前聞きましたが、葉加瀬さんは彼から「モジャモジャ」以外の名前で呼ばれたことがない。「息子は母親に生き写し、悪い目をしている」。
そしてチェロの紹介。チェロはメロディーを弾いたり低音を受け持ったり、なんでもできる万能楽器。人間の声に一番近いと言われている。(ヴィオラだったか、他の楽器の人もそう言っている、と高嶋さん。私もクラリネットの人がそう言っているのを聞いたことがあります、、、)
でも、「チェロが一番近いです!」ときっぱり言い切る柏木さん。
演奏したのは、ブラジル音楽を聴いて影響を受けたので民族音楽っぽい曲が多いという柏木さんの「Cellos LIFE 」から「Cielo Azul」(「青い空」の意)でした。
ステージの真ん中に柏木さんが腰かけると、スピーカーから弦の音がしました。自分のチェロの音の音源かな?と思いましたが、詳細は不明。流れるようなチェロのメロディがとても美しい曲でした。
高嶋さんのコーナー オーシャン・ブルー〜ORCA〜
柏木さんの演奏が終わって次のセッティング作業中、波の打ち寄せる音や青い光の演出がありました。
これも以前のlive imageを思い出すような感じ。
こっちのほうがイマージュみたい、と思う瞬間が、このライブでは多かったです。
準備ができると、高嶋さん登場。
羽毛田さんが聴き慣れたイントロを弾き始めました。羽毛田さんプロデュースの「オーシャン・ブルー〜ORCA〜」。
途中、映画の「ジョーズ」のように危機迫る感じをコントラバスが演奏するところは、ライトが真っ赤に。
海がテーマの曲らしい、豊かな音の広がりが高嶋さんの素直で豊かな音色とあいまって、感動する一曲。
演奏が終わると、羽毛田さんはささっと退場。
高嶋さんのMCが始まりましたが、今の曲は羽毛田さんのプロデュースでした、と紹介したかった高嶋さん、ピアノ席にかわって伊賀さんが座ってるのに気が付いて、「あれ、羽毛田さん消えちゃった!」
ここで、最近各所で炎上してしまった高嶋さんのご家庭問題について、大胆に言及。もうすっかり一段落して、「人の噂も四十九日」と言ってしまって伊賀さんに「七十五日」と訂正されていましたが(乙武君さまさま?らしい、、)変に委縮しないでガーンとはねかえすところがほんとあっぱれだなぁと思いました。ある意味正論だから。客席からも拍手がおこっていました。
もちろん、当初はずいぶん落ち込んだり心乱れたりされたようですが、元気になられてよかったです。
リベル・タンゴ
高嶋さんの2曲目は「リベル・タンゴ」でした。
私は羽毛田さんのピアノで聴き慣れているけれど、今回は伊賀さんがピアノ。なかなか新鮮。伊賀さんもとっても上手なピアニストなので(イガーラモ時に堪能済み)、こんな感じのリベル・タンゴもあるんだなーと、楽しめました。
ナヴァーラ
一部最後の曲は、葉加瀬さんが登場して高嶋さんとのコラボレーション。以前live imageで聴いたことのある「ナヴァーラ」でした。
葉加瀬さんは弓を3本携えてました。「これだけあれば、何本折られても大丈夫だろうと…」
サラサーテ作曲の、ヴァイオリンのテクニックを見せびらかす曲だそうです。
「2年前のlive imageでゲキチン、心のDSを折られた、、」と葉加瀬さんが言っていたけど、そうだっけ?私はすごいなと思った記憶があります。
いずれにしても、難曲なので、「今日の注意点は?」「は?」「僕が怖気づかないこと、、」
「弾くのは明後日でもいい、もう若手に譲る」などなど、どんどんMCを引き延ばす葉加瀬さん。なんだかわかる気がする。
ほんとに難しい曲やる前って、バンジージャンプする前の人みたいになりますよねぇ。
ピアノは伊賀さんに代わって羽毛田さんが弾き、みんなの息がよく合ったナヴァーラでした。
休憩時間
今回は一人で行ったので、休憩時間は席にいようかなとも思ったのですが、ちょいとコーヒーが飲みたいなと思ってホワイエに行きました。
物販前も、トイレのあたりもものすごい人。葉加瀬さんが「祝祭とか祭典みたいなコンサートにしたかったので“HATS MUSIC FESTIVAL”という名前にしたと言っていましたが、雰囲気は本当にお祭りのようでした。
席に戻ると、ホール内には以前HATSからリリースされた「Invitation to FANTASY WORLD」の、羽毛田さんの演奏曲「La La Lu」が流れていました。
このピアノが羽毛田さんの演奏だって、ここにいる人知ってるかなぁ、、、と思いながら、耳を傾けつつ開演を待ちました。
第二部〜WITH ONE WISH
二部は葉加瀬さんと古澤さんのコラボレーションで始まりました。
二人とも白いジャケット、古澤さんは白いハットで、これは「ヴァイオリン・ブラザーズ」の時のイメージかな?
一曲目は、スポンサーでもある日医工のために葉加瀬さんが作った「WITH ONE WISH」でした。私のとっても好きな曲です。
いつもは葉加瀬さんのヴァイオリンで耳慣れていますが、古澤さんのソロの部分があって新鮮でした。
この人だったらこうやって弾くんだな、という比較ができたりして、こういうコラボコンサートは楽しいなと思いました。
葉加瀬さんによると、このアレンジは「シネマティックバラード」っぽい「お・と・なって感じ」で、弾いていて気持ちよかったそうです。
そして二人のMCが始まりました。
葉加瀬さんが18歳で上京して初めての夏に出会ったお二人ですが、古澤さんは葉加瀬さんを見てバンドをやりたくなったそうです。
もともと14歳の時から古澤さんがあこがれの人だった葉加瀬さんですが、最初のコラボはバンドだったのか、、。
そして、「あの方を呼びますか」
ふと下手の舞台袖を見ると、幕の向こうから高嶋さんがじっとりとした目でステージを見ていました。
出てきた高嶋さんは、キラッキラのドレス。「呼び込み遅い!」
スウィンギン バッハ
3人で演奏したのは、バッハの「2つのヴァイオリンのためのコンチェルト」をスウィング調にアレンジした古澤さんと葉加瀬さんの曲でした。
原曲は、バイオリンの発表会で上手な子がオオトリで弾く定番曲だそうです。
3人の楽しそうなバイオリンもよかったけど、天野さんのジャズギターがすごくかっこよくてしびれました。
弾き終わると、葉加瀬さんだけが大量に汗をかいていて、高嶋さんに「サウナでも行ってきたんですか?」「サウナリリア?」とつっこまれていました。
「2曲弾いただけでこれだったら、全部終わったらゲキ痩せするんじゃない?」
葉加瀬さんの汗もびっくりしたけど、古澤さんがとっても楽しそうで、ウキウキしていたのが印象的でした。
HATS所属アーティストのコーナーその2〜羽毛田さん
いよいよ羽毛田さん登場。
「こんばんは、羽毛田丈史です。」というと、高嶋さんに「いつになく元気ですね。意気込みは?」「がんばります」とすでにタジタジムード。
羽毛田さんはレコーディングなどではいつも眠そうで、テンションが低い、と高嶋さん。「日本語は通じてます?」
プロデュースなどで彼らと一緒に仕事をすることが多い羽毛田さんですが、「みんなやりやすいでしょ?」に「三人ともめちゃくちゃめんどくさい。」
原曲丸投げ、電話でメロディーを歌う、楽譜を写メしてくる、などなど…。
でも、ヴァイオリンのような単音楽器の演奏家はコード感がないので、羽毛田さんがプロデュースしてくれると何十倍、何百倍にも曲が膨らむ、と褒められていました。
高嶋さんには「現代のラヴェル」と、そこですかさず古澤さんが「ハッツラーベル」
ピアノに突っ伏す羽毛田さん。
今回の演奏曲は「地球に乾杯」でした。live imageでは今年は演奏されていないので、聴けて良かった!
この日のアレンジは、最初はピアノソロで、そして柏木さんチェロとのデュエットバージョンにパーカッション、そして最後にオケバージョンと、だんだん広がっていく感じの素敵なアレンジでした。装飾的なピアノのアドリブも、いつもより多めで。
葉加瀬さんのコーナー〜ひまわり
羽毛田さんの演奏が終わるとステージは暗転して、青い光とともにきれいなメロディーが流れ、下手から葉加瀬さんが登場。合図で「ひまわり」の羽毛田さんによるイントロが流れ、葉加瀬さんがお辞儀して演奏が始まりました。
ここは絶対、間奏で伊賀さんのフルートが聴けるはず。すごく耳準備していたのですが、マイクの音量があまり大きくなかったのか、ストリングスの音に埋もれ気味、、もっとうしろの席だったら音が飛んでいたかも?
伊賀さんは、フルートよりも、キーボードを弾きながらすごく踊っていたのが気になりました。
また、この曲で後ろのセットが変わったことに気が付きました。植物の切り絵のような仕立てで、趣味良い感じ。今回はビジュアルもとてもきれいでした。
演奏が終わると、「この曲のアレンジプロデュースも羽毛田さんです。」と葉加瀬さんが紹介してくれて、拍手を受ける羽毛田さん。
この曲はNHKの朝ドラ「てっぱん」の主題曲ですが、ドラマ放送中に東日本大震災がおこり、被災地からは「朝8時になるとこの曲がかかって元気づけられる」と言っていただけた。今回熊本で大変な震災が起こったが、この会場でも募金箱を置いているのでご協力をお願いします。とのことでした。
三人のメドレー タンゴ・アモーレ〜サンビスタ〜情熱大陸
葉加瀬さんの出演コンサートだから、最後は情熱大陸かなと思っていたのですが、意外にここでメドレーとして演奏されました。
まず古澤さん、高嶋さんを呼び込むと、高嶋さんは今度はブルーのとっても素敵なドレスに衣装替えしていました。今回のドレスの中では、これが一番好きだなと思いました。
「いよいよコンサートも山場」、古澤さんもとっても元気で「踊りたい!」
ということで、踊れる曲のオリジナルスペシャルメドレー。最初は古澤さんのドラマ「鹿鳴館」のために作られ、羽毛田さんがアレンジした「タンゴ・アモーレ」。久しぶりに聞きました。
この曲は羽毛田さんが「中森明菜のミ・アモーレに似てる」と言ったので「タンゴ・アモーレ」という題名になったそうです。知らなかった!
続いて、高嶋さんは「サンビスタ」。これは伊賀さんアレンジの曲、彼にスポットライトがあたってました。
サンビスタのカラフルなライティングから一転、葉加瀬さんの「情熱大陸」では真っ赤なライティング。今回はヴァイオリン中心のアレンジ。
ハカセンスもちらほらと。(後ろを向いていないからわからないけど、後ろでもっと振られていたかも。)
パガニーニ カプリス第24番
次はパガニーニの曲でした。パガニーニははじめてリサイタルというものを開いたヴァイオリニストだそうですが、この曲を弾くとコンクールや入試がよみがえってしまうそうです。
でも、今日は3人でやるから楽しく、ということで3人ステップを踏んだり、弓で指したりしながらの演奏。古澤さん、ものすごく楽しそう。
コンクール風に葉加瀬さんが「2番、港区から来ました。ピチカートで盛り上げます。」古澤さんが「3番、宇宙からやってまいりました古澤です。最後にフィナーレのところ弾きます。」で大爆笑。
エンディングは戦隊もののヒーローのようにポーズが決まりました。
この曲では、チェロを後ろでガシガシ弾いていたはずの西方正輝さんが突然立ち上がって、ギンギンなトランペットのソロを吹いてもうびっくり。芸大で副科、トランペットだったのか?大変立派なトランペットでした。
また、パーカッションの仙道さおりさんとドラムの渡嘉敷祐一さんのソロがあったのですが、葉加瀬さんが「サンドウィッチ、サンドウィッチ」と叫んでいてなんだろう?と思ったら、「さうぉりちゃん、さうぉりちゃん」と仙道さんの名前を呼んでいたのでした。
チャールダーシュ
MCなく、そのまま続いてかっこいいイントロに続き、チャールダーシュが始まりました。
私は古澤さんのチャールダーシュを一番たくさん聴いていますが、3人でやるとまた違った感じ。
これが本編最後の曲だったので、みんなで示し合わせてエンディングが決まりました。
アンコール
アンコール1曲目は「フィドルファドル」。パーカッションの仙道さんがとっても器用に、リズムにあわせて風船を割ったり、犬の鳴きまね(彼女の得意技らしい)をしたり、パフパフハンマーを振ったりしました。
センターの3人だけでなく、ストリングスの方々も、曲に合わせて立ったり座ったり。
演奏が終わると古澤さんが「ちょーたのしい!あしたもやらない?」
すると高嶋さんが「いやですよ、帰って子どもの漢字のテストの勉強みなきゃいけないんだから!」
「来年もきっと(三大ヴァイオリニストコンサートが)ある気がする」に「つちのこはリハも練習もやらない」「もう心も体も腱鞘炎!」
アンコール二曲目は「タイスの瞑想曲」のボサノヴァバージョンでした。
興奮をクールダウンするような、ムーディーなタイスでした。ここでも伊賀さんフルート出現!
アンコールの演奏が終わるとまた「SWINGIN' VIVALDI」が流れて、オーケストラのメンバーも前に出てきて、全員でカーテンコール。これもサプライズな、とても楽しい演出でした。
終演
「静謐」がモチーフともいえる今年のlive imageと対照的に、隅から隅まで、音と言葉と笑いにあふれたコンサートでした。
終演後、羽毛田さんをお訪ねしましたがすぐに打ち合わせ、というか初日の反省会があるとかで、写真撮影はなし。差し入れだけ渡して帰りました。
ステージの上では楽しい音と笑いに満ちた出演者のみなさんでしたが、陰ではこうやってすぐ振り返り、少しずつ修正しながら進化して、千秋楽まで走り続けるんだろうな。
まさに、葉加瀬さんの「音楽で人を楽しませたい」という真心に満ちた楽しい祭典でした。
(2016.05.08投稿)