live image 13〜監督インタビュー2013
今年13回目だったlive imageツアー。
そして、インタビューも今回でなんと13回目!だけど何回やっても羽毛田さんのおこたえはおもしろい。今年もどうぞ「羽毛田ワールド」をお楽しみください!
まずは今年のlive imageについて・・・
加古さんが昨年で卒業されて、今年初めて「加古さんのいないイマージュ」でしたが、どんなことを感じましたか?
思ったよりも、喪失感とか、寂しいとかネガティブな感情はありませんでした。どちらかというと加古さんがいなくなったことで歴史とか、伝統とか、長く続くイベントの重みとか、live imageの新たな始まりの予感を感じました。
葉加瀬さんが見出した2組の若いアーティストが出演しましたが、彼らのパフォーマンスを見てどんなことを感じましたか?
<→Pia-no-jaC←>リハでみていても、とにかく元気がでる!アホな2人ですが
世代の壁、国籍の壁、いろんなものを壊してます。
<アモリ・ヴァッシーリ君>CDを是非聞いてもらいたいです。イマージュのステージの1曲では彼の良さは伝わらなかったかも。
高嶋ちさ子さんとの初共演はいかがでしたか?
とても楽しかったです。彼女の毒とかわいらしさがイマージュに新たな風を吹き込みました。
今年はオーケストラ・イマージュのコーナーがありませんでしたが、なぜだったんでしょう?
それは単純に、出演者が多くて、演奏曲が多くて、MC長くて
いやぁもうこれ以上長くできませんです。はい。
今年の羽毛田さんのコーナーは「地球に乾杯」が復活して、あらためてこの楽曲のイマージュでの存在感の大きさを感じましたが、ご自身はいかがでしたか?
この曲は、唯一、僕たち出演者もスタッフも本番でしか聞けない曲となりました。つまり、全員覚えているのでリハとか一回もやらなくてもいい曲なんですね。これってすごいことで、本番でやると全員とても新鮮なのです。
アーティスト交替の間に、羽毛田さんの自作曲が3曲流れましたね。
アニメのサントラ曲など、なかなかマニアックな選曲でファンとしては嬉しい限り、掲示板でもかなり盛り上がりました。
この3曲の選曲には羽毛田さんも関わったのですか?
この選曲には、いっさい関わっていないんです。なので本番のときに、おやっ聞き覚えのある曲が、ってな感じです。
加古さんがいらっしゃらない「My Favorite Things」(初回から続くアンコール曲)はどうなるんだろう?と開催前からファンの間では話題でしたが、イントロを丸ごとカットしてしまった理由は?
羽毛田さんの木撞はもう二度と聴けないのでしょうか?
あれは、もともと一番最初のイマージュではなかったイントロなんです。イマージュがはじまって数年後に、JRのために加古さんが編曲したMy Favorite ThingsがCMで使われたので、じゃあこれをイントロにつけてしまおうということになったのが始まりでした。
なので、加古さんのご卒業とともに例のイントロもやめたというわけです。
次に、最近作について・・・
話題作「とんび」のテーマ曲はライブ・イマージュでも演奏され、涙するお客さんもいましたが、またしてもドラマにぴったりはまった、もうこれなしではドラマを思い浮かべられないほど一体化した素晴らしい作品でした。
このサントラの曲作りはどんな感じだったのでしょうか?
これは、話せば長いので簡単に。
ルーキーズの時と同じ監督、プロデューサー音響監督なので、アバウトなくせに厳しいという大変なチームだったわけです。
今回のお題は、ただひとつ「泣ける曲」を・・・・それだけで。
メインテーマのOKがでるまで、3曲書き直しました。OKがでてからも
細かい直しが続き、なかなか厳しい戦いとなったわけですが終わりよければすべてよし!ということで打上げでは、みんなでおいしいお酒を飲みました。
この春は春野寿美礼さんや河村隆一さんらのスーパーデュエットなど、ステージ関連のお仕事が続きましたが、いかがでしたか?
面白い面、大変な面など感想を教えてください。
春野さんのコンサートは超楽しかったです。
懐かしの歌謡曲あり、ミュージカルの曲あり、ジャズスタンダードありと内容もイマージュボーカル版のようでしたがメンバーも最高で、結構多くのステージをやりましたが一度も同じ演奏にならなくて、毎回毎回新しい音楽が生まれたようなライブでした。
河村さんのコンサートは、プレーでは参加せず音楽監督という立場でしたが、ミュージカル系の歌手とミュージシャンの実力とガッツを見せつけられたようなリハーサル、本番でした。J-Popと大きく違うのはミュージカルの世界は上下関係が芝居の世界のようにはっきりしているので、どんな無理難題をいわれてもみんな一言も文句言わずに、果敢に挑戦し、そして努力します。従ってこちらも真剣にならざるを得なくなるし
同時に、アドバイスのしがいもとてもあるということです。
違う世界で仕事するのも刺激になって、勉強になるなあって思うような仕事でした。
羽毛田さんにどうしても聞きたいことが・・・
私は最近、人生のリベンジ的に、小さいころに挫折してしまったピアノに再びチャレンジしているのですが、なかなかうまくいきません。
それで、比較的大人になってから始めたにもかかわらず、短期間で爆発的に弾けるようになった羽毛田さんに、ぜひ上達の秘訣をお聞きしたいのですが。
質問1 ピアノなんて押さえれば音が出ると思ってましたが、確かに音程は確保できるのですが、自分の出したい音を出すのがとってもむずかしいんです。
むしろ、音を出すのは難しいけど、口でいろいろ調節できるフルートのほうが、ずっと表現しやすく感じます。
私には何が足りないんでしょう?今後どんな練習をすれば、羽毛田さんみたいにいろいろな表情の音を出せるようになるんでしょう?
出したい音というのは、音色のことでしょうか?
ピアノは叩けば猫でも、猿でも同じ音がでます。さらに、音が鳴ってしまうとあとは減衰していくだけなので、なんのコントロールもできません。
譜面には強弱記号とか書いてあって クレッシェンドとかディミヌエンドとか書いてありますが、ほんとはピアノにはこんな事はできません。叩いたら最後その瞬間に強弱は決まってしまうし、そのあとはディミヌエンドしかないんですから。
もうおわかりかと思いますが、ピアノで自分の音色とか、自分だけの表現をするというのは、超難しいわけです。
しかし、逆から考えると、表現方法が極端に少ないということは押さえるポイントも、そんなにないということです。
つまり、打鍵の際の強さとタイミングのコントロールしかないわけですね。
もうひとつ重要なことを上げるとすると、鍵盤から指を放すタイミング、すなわち音を切るタイミングです。これには指を上げるスピードも関係します。
しかしピアノのコントロールは厳密にはこの2点しかありません。
では、どのような練習がいいかというと、この二つを自分の思った通りにできる練習です。僕は、この練習にはハノンが最適だと思います。
10本の指を一本づつ同じ強さで同じタイミングで鍵盤をたたく、同じスピードで、同じタイミングで離す。
これらを自分の思い通りにすればピアノのコントロールが容易になります。
右手と左手のバランスを注意して、整えると音色がコントロールできますが、これも、上記の練習に重きを置いているとたやすく出来るようになります。
具体的には、ハノンを1番から 必ず、メトロノームを使ってとてもゆっくりな速さで、全部の指が同じ強さで、正確なリズムで出来るようにする。
アクセントをつける、キーを全キーでやってみる(指使いは変えない)
いまでも僕はイマージュ前とかは、1、2ヶ月前からこの練習を、曲の練習より多くやります。
質問2 何が大変って、ピアノは譜読みが大変です。単音楽器の楽譜ばかり見ていた私は、これだけでピアノをやめたくなります。
羽毛田さんは高校生の時、譜読みのむずかしさをどう克服したのですか?それとも、譜読みは得意だったのですか?
僕の最大の弱点、それは譜読み!
1段に単音で書いてある譜面読むのも大変なのに、和音やらメロディーやらが一杯書いてあって、更に、それが2段になっていて、上にも下にも加線がいっぱい書いてあって、ピアノの譜面なんて、これを読めるヤツがいるというほうがおかしいでしょう。
いまでも、小松君のタンゴのピアノの譜面には毎回泣かされているわけです。
克服もなにも、僕はとにかく何回も弾いて身体に指に覚えさせてしまうわけです。目の前においてある譜面は、デザインとしてみているだけで音符なんぞ見てないわけです。それでも覚えられないところは、その場で適当に作って弾く。これです。
質問3 私のような熟年ピアノ練習者に、何か希望の持てそうなアドバイスをください!
好きこそものの上手なれとかいいますが、ピアノに接していることが幸せと思えるとけっこう勝ちです。そこが一番大事なところなので忘れずに頑張ってほしいと思います。
さらに、もう一つ、質問というか希望というか・・・
先日あるオーケストラの演奏会に行きまして、そのときつくづく「こんなオーケストラの演奏で、次から次へとこれでもかと、羽毛田さんのサントラなどの作品を聴きまくりたい。この20年ほどの間に作られた作品の中から、『よりぬき羽毛田さん』的に!」と思いました。ソロ楽器はゲストを呼んでもいいなぁ、とか妄想は膨らむばかりで。
こんなコンサート、実現…しないですかねぇ?
了解しました。ぜひ検討させて頂きます。
その節は、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
鳩の子育てにすっかり気を取られて、羽毛田さんへの質問集をなかなか提出せず、しかも質問と言えば半分個人的関心事じゃん!みたいな内容で若干恐縮気味だったのですが、図らずもピアニスト羽毛田さんの意外な一面を引き出してしまいましたねぇ!(いや、羽毛田さんが相当気ぃ遣ってくださったような気がするが、、、)私同様、ピアノ頑張るぞって思っている老若男女の皆様、ぜひ羽毛田さんのアドバイスを参考にしてくださいね!
しかし、まじで検討してほしいもんだ、「これでもか」コンサート…
(kingyo130621)