おすすめ作品:EUPHORIA
EUPHORIAとは、いろいろなミュージック・シーンで活躍していた5人のミュージシャンが集まって1988年に結成したフュージョン系のセッション・バンドで、88年にデビューアルバムの「EUPHORIA」、89年にセカンドアルバム「Euphorizm」、そして91年に「Fly with the Rhythm」をリリース後、残念ながら活動を停止しました。
羽毛田さん以外のメンバーは、竜童組(宇崎竜童さんのソロ・プロジェクト)やサザンオールスターズのバックバンドとして活躍し、羽毛田さんの初期の劇伴にもサックスやフルートで参加している包国充(かねくに・みつる)さん、ペドロ&カプリシャスなど多数のバンドやネイティブ・サンに参加したベースのロミー木ノ下さん、やはり竜童組に参加していたドラムの樋口晶之さん、そしてキーボーディストで作曲家でもある増田俊郎さんという、そうそうたる面々でした。
羽毛田さんに当時のことを聞いてみると、「やっているときは楽しかったよ。フュージョンも好きな時代があったから、そのジャンルでもデビューしてCDも出せたりしたらいいなと思っていたから良かったです。もともと、竜堂組のメンバーに誘われて気楽に入ったライブバンドだったから、CDを3枚も出せたのはラッキーだった。」とのことでした。
私は今回初めてCDを聴いたのですが、何曲か「これは絶対テレビで聴いたことがある!」というものがありました。羽毛田さんが作曲したものも何曲かありますが、ご本人の一番のお気に入りは「Fly
with the Rhythm」8曲目に収録されている「BOLIVIA」だとか。でも、テレビなどでよく使われたのは「EUPHORIA」の6曲目の「This Bud's For You」だったそうです。
どちらも今から15年ほど前のCD。もちろん羽毛田さんの写真も15年若い!でも、「EUPHORIA」のほうの写真は今とそれほど雰囲気は変わっていないような。それに対して「Fly with the Rhythm」の写真はかなりレア。羽毛田さん、ロンゲです!このジャケットの裏が、「gallery」のページにしいなさんが投稿してくださったサイン入りのものです。表面もとってもキュート。
EUPHORIA 「EUPHORIA」
1.MORNING BREEZE (by 包国充)
Produced by 包国充・増田俊郎
Soprano Sax:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Acoustic Piano:羽毛田丈史
Keyboards:増田俊郎
この曲は、確実にテレビで聴いたことがあると思います。ライトで、さわやかで、実にフュージョンらしい曲です。私がサックスの中でもソプラノに興味を持ったのは、このジャンルの音楽を聴いてから。包国さんのソプラノサックスは、まさにそのときの音です。羽毛田さんのアコピもはさまって、当時よく聴いていたデイブ・グルーシンの「Mountain Dance」などを思い出しました。
2.SHARE THE LOVE (by 羽毛田丈史)
Produced by 羽毛田丈史
Tenor Sax:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Keyboards:増田俊郎・羽毛田丈史
Backing Vocal:Suzanne K. Kim・Maxayne Lewis
Chorus Arranged by 羽毛田丈史・Suzanne K. Kim
スローで、ムーディーな感じ。こんな感じのも、流行っていたな〜。羽毛田さんが90年代に参加していたJupiter Projectでの曲の雰囲気にも通ずるものがあります。ボーカルはスージー・キムだしね。
3.THE OWL (AS WISE AS) (by 増田俊郎)
Produced by 増田俊郎・ロミー木ノ下
Tenor&Soprano Sax:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Acoustic Piano:羽毛田丈史
Keyboards:増田俊郎 Percussion:横山達治
どの曲も、ベースとドラムの存在感がすごいのですが、これはパーカッションも入り、サックスも多重録音でより分厚い感じ。羽毛田さんのピアノは、その間隙にピリリとクールに入ります。横山達治さんのパーカッションがすごいです。
4.NEW BORN (by 包国充)
Produced by 羽毛田丈史
Tenor&Soprano Sax/Flute:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Acoustic Piano:羽毛田丈史 Keyboards:羽毛田丈史・増田俊郎
Percussion:石川 晶
Backing Vocal:Suzanne K. Kim・Maxayne Lewis・P.J.
私は、包国さんのサックスも好きですが、フルートもとても好きです。どちらも自分が吹ける楽器なのですが、こういう風に吹けたらいいなと…。羽毛田さんの劇伴では、「FOR YOU」で包国さんのフルートを存分に聴くことができます。この曲では、フルートはバッキングで使われているので、それほどたくさんは出てこないのですが。途中で、ちょっと素敵な羽毛田さんのピアノソロがあります。
5.NINOS (by 包国充)
Produced by 包国充
Alto Sax:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Keyboards:増田俊郎・羽毛田丈史
Percussion:石川 晶 Backing Vocal:Suzanne K. Kim ・P.J.
冒頭などでラテンな感じのギターがなるのだけど、ギターを弾いている人はいないみたいなので、シンセでしょうか?不思議。バックのアンビエントなキーボードは羽毛田さんじゃないか、と勝手に想像するのも楽し。
6.This Bud's For You (by 羽毛田丈史)
Produced by 包国充・増田俊郎
Alto&Tenor Sax:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Keyboards:増田俊郎・羽毛田丈史
キーボードがピコピコしている、ちょっとコミカルで明るい曲。うむ、確かにテレビで使われがち(笑)。プロデュースは羽毛田さんではありませんが、そうだとまた違った感じになったのかな?
7.FARAWAY (by 包国充)
Produced by 包国充・羽毛田丈史
Tenor,Alto,Soprano Sax:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Acoustic Piano:羽毛田丈史 Keyboards:増田俊郎・羽毛田丈史
ベースとアコピが絡むイントロが、とてもいい感じ。スローで、サックスの音色がとても活きている曲です。3種のサックスが多重録音でハモるところが、とっても美しい。サックス好きにはたまりません!
8.MOON NIGHT (by 包国充)
Produced by 包国充・樋口晶之
Tenor Sax:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Keyboards:増田俊郎・羽毛田丈史
Percussion:帆足哲明
まるでIWGPに出てきそうな、ハードタッチの曲。テナーサックスの多重演奏が迫力です。
EUPHORIA 「Fly with the Rhythm」
1.Caribbean Festival (by 包国充)
Tenor Sax:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Keyboard Solo:羽毛田丈史
Keyboards:増田俊郎 Percussion:BUNDUMUNA
すっごく長い羽毛田さんのキーボードソロがあります。live image「My Favorite Things」のボキャボキャのルーツはこんなところにあったのかっ!
2.Used to be there (by 増田俊郎)
Soprano Sax:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Keyboards:羽毛田丈史
Keyboard Solo:増田俊郎 Percussion:BUNDUMUNA
増田さんの音楽ルーツ、アフリカ音楽的な要素が入った、ちょっと違った方向でのクロスオーバー。
3.Whisper in the wind (by 増田俊郎)
Tenor Sax:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Acoustic Piano:羽毛田丈史
Keyboards:増田俊郎 Percussion:Karl Perazzo
こちらは、羽毛田さんの長いアコピソロがあります。作曲は増田さんですが、曲調は包国さんっぽい。
4.Sevilla (by 羽毛田丈史)
Tenor&Soprano Sax:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Keyboards:羽毛田丈史
Keyboard Solo:増田俊郎 Percussion:BUNDUMUNA
私は、羽毛田さんの作曲したものの中では、これも結構すきです。プレイヤーなら、すごく気持ちよく演奏できそう。メロディーが複雑に転調していくところなども魅力的。
5.City course strut!(by 包国充)
Tenor&Baritone Sax:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Keyboards&Chorus:羽毛田丈史 Keyboard Solo&Chorus:増田俊郎
Percussion:Karl Perazzo
演奏だけでなく、当時の羽毛田さんの肉声(?)も聴くことのできる、貴重な曲です。サックスと一緒に、メロディーを歌っているのがかすかに聞こえます。バリトンサックスが使われているのも、この曲だけ。
6.Paris in my mind (by 包国充)
Soprano Sax:包国充 Fretless Bass:ロミー木ノ下
Keyboards&Computer Programming:羽毛田丈史
Keyboards :増田俊郎
Harp:八木信夫
これまで、ほぼ同じ構成で演奏されていましたが、この曲はドラムが抜け、雰囲気が変わっています。フレットのないベースは微妙な音のスライドがあって、幻想的な音がします。さらに八木信夫さんのブルースハープも入って、よりオーガニックな感じに。ソプラノサックスとブルース・ハープというのは、なかなか思いつかない組み合わせ。でも、合奏するととてもきれいです。
7.Casa-Blanca (by 包国充)
Tenor Sax&Pianica:包国充 Bass:ロミー木ノ下 Drums:樋口晶之
Keyboards:羽毛田丈史 Keyboards :増田俊郎 Percussion:Karl Perazzo
めずらしい3拍子の、フュージョンというよりは劇伴などにありそうな曲。プロの吹くピアニカを聴くのは、フーターズ以来です。
8.BOLIVIA (by 羽毛田丈史)
Tenor&Soprano Sax・Flute&Piccolo:包国充 Drums:樋口晶之 Bass:ロミー木ノ下
Acoustic Piano:羽毛田丈史 Keyboards :増田俊郎
羽毛田さん一番のお気に入り曲は、実に異色の曲でした。これまでの曲のほとんどは、実にフュージョン「らしい」ものでした。リズミカルで、旋律が美しくて聴きやすいけど、イージーにリスニングしてしまう危険性もあり、という。でもこの曲は…外人部隊の行進みたいなドラムといい、、あれ、今ドラがなったような。うーん、羽毛田さんが「好き」っていうの、なんだかわかる気がする。これがほんとの「クロスオーバー」かも。
9.Agua so corazon (by 羽毛田丈史)
Soprano Sax:包国充 Acoustic Piano:羽毛田丈史
短い曲ですが、ソプラノサックスとアコースティックピアノの美しいデュエット。羽毛田さんのファンなら、この曲を一番のお気に入りに上げる人も多いかも知れません。
廃盤になってしまったCDをレビューするなんて、まさに「絵に描いたモチ」ですが、もしどこかで出会ったら、なんとしても手に入れてください!聴いてみてください!EUPHORIA!
(投稿者:kingyo 投稿日: 051111)